空間識失調(Spatial Disorientation: Vertigo, Illusion)
操縦者が自分又は操縦している航空機の姿勢、位置、運動状態(方向、速度、回転)などを客観的に把握できなくなった状態を指します。
空間識失調を原因とする航空機事故は数多く報告されています。「どういうときに、どういった錯覚が起きやすいのか」、また、「その対策は何か」を認識しておくことが大切です:simulation, accident and incident report
空間識失調の分類には、下記のように2通りの分類方法があります。
Type-T:認識していない unrecognized SD:回転翼の航空機に多い
Type-U:認識している recognized SD:固定翼の航空機に多い
Type-V:操縦不能になった場合 incapacitating SD
- 視覚性
着陸直前にまっすぐ滑走路に向かっていたはずが、雲の下に出た途端に
急に横に流されるような錯覚に陥った。
直行している高速道路上を流れる車のライトが原因
高度と滑走路の見え方の問題・滑走路前景の問題
- 体性感覚(皮膚感覚・深部感覚)
通常は、座面からの圧迫・ベルトの圧迫で、位置を自覚している - 内耳性
一定速度で回転→回転感覚が消失、停止後は反対方向に回る感じ。
コリオリ現象
旋回中に頭を左右に振ると上昇・下降・回転といった感覚が入り交じる
空間識失調が原因となった航空機事故としては、1994年7月2日に起きたUA
Air
DC-9-31機のCharlotte空港における事故が、端的な例とされています。