減圧症(decompression sickness) :異常気圧症候群(Dysbarism)
高々度を飛行する航空機には与圧装置が備えられていますが、民間の小型機の多くはこれを持っていません。また、軍用機の場合、軽量化のために与圧装置は軽量化のために小型であったりします。
- ジェット旅客機:
- 20,000〜40,000 ftを飛行する場合、機内高度は5,000〜7,000 ftに調整されています。
近年、ターボエンジンなどの発達により与圧機能無しに25,000 ftの高度を飛行
できる民間機も出現しているため、注意が必要とされます。
- 病態生理
- 体
障害される腔内気体の相対的圧力変化
減圧により、組織の圧迫・進展などにより疼痛が生じたり、内部の組織が。(圧外傷) - 体内気体の気泡化
空気の約80%を占める窒素ガスは血液に溶け込み、体組織に運ばれる。
1気圧下では、60Kgの体重あたり1-1.5lがとけ込んでいる。
気圧が下がると、窒素ガスの溶解度が減少するため、気泡化してしまう。
これは、特に血流の悪い血管内や脂肪組織内で起こる。
脂肪組織:血液の5-6倍の窒素ガスがとけ込む → 肥満は注意
- 体
- 症状
- Bends:
- 関節痛。窒素の気泡化による組織や血管の圧迫が原因と考えられている。
- Choke:
- 肺血管内の気泡発生により胸骨下の圧迫感・咳が出現
- Creeps:
- 皮膚に発生した気泡により痒み・痛みが出現
- Staggers:
- 神経系の気泡発生:頭痛・運動障害・意識障害
- Ebullism:
- 体液の沸騰:37度で水が沸騰する蒸気圧は47mmHgであり、
高度63,000ftに相当する。つまり、これ以上の高度にさらされると
体液が沸騰してしまう可能性があるため、加圧呼吸や与圧服が必要となる。
- 悪化因子
外傷・炎症などの関節疾患、肥満、スキューバダイビング、運動・寒冷
低酸素、薬物・アルコール - 処置
航空機の下降、100%O2吸入、保温・安静による気泡化の防止、
専門的治療:高圧酸素療法 - 減圧症の予防
脱窒素:飛行前に30分間100%酸素を吸入する
加圧呼吸・機内与圧・与圧服
低圧チャンバーでの訓練
悪化因子の除去
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